“新しい”という定義の裏には「そんなもの必要ない」という何百もの理由がある。トップデザイナーから学んだこと。

デザイン情報誌のAxisに掲載されていた、日本を代表する工業デザイナー深澤直人氏と、アップルのチーフ・デザイン・オフィサー ジョナサン・アイブ氏との対談記事を読みました。
Axis
(出典:デザイン情報誌「AXIS Vol 197」株式会社アクシス発行)

深澤さんは、MBAのクリエイティブシンキングという科目でデザインコンサルティングファームのIDEOのケースを学んだ際に初めてその名前を知り、その後ゴルフを通じて知り合って以来の親交があります。
私はデザインに関してはズブの素人ですが、彼の著書を読んだり実際の話を聞いて、彼の仕事にかける情熱や、チャレンジ精神、好奇心や思考の深さ、そして世界のトップデザイナーとなって尚も学ぶ姿勢は、尊敬の念を抱かずにいられない素敵な方です。
(オーストラリアの思い出)

今回の記事では、世界で最も価値ある企業の一つであるAppleのチーフデザイナー ジョナサン・アイブ氏との対談ですが、非常に共感できる部分が2つあったので書き留めておきたいと思います。

環境は人を変える

1つめは環境が考え方や話し方まで変えるという話です。
アップルは深澤氏がデザインしたHiroshimaという椅子を新社屋に選んだという話から、新社屋の設計にあたりアイブ氏は実物大の模型を作ってそこで実際に同僚と過ごしたり、様々な家具を試したり、時にはデザインチームのミーティングをそれぞれの家で持ち回りで過ごしたりしたそうです。その中でソファに座って話すのと、事務椅子に座って話すのでは、考え方や話し方まで変わることに気づき、アイブ氏はそれらのことから「どんな空間で、どんな椅子に座るかで会話の質が変わる」ということを発見し、アップルの新社屋デザインや家具の選定をしたと紹介されています。

ゴルフも同じで、インドアのスタジオ、練習場、コースでコーチと生徒さんが交わす会話は変わります。
たとえばスタジオではスイングの指摘が増えますが、コースだと励ましやポジティブなフィードバックが増えます。
そしてコースの中でもそこがよくいく国内の丘陵コースなのか、海を見渡すリゾートなのか、海外で非日常を感じられるコースなのか、そうしたことでもレッスンの内容も行動や会話の質も変わるのです。

それをどれだけの人が意識しているのかは分かりませんが、場所はもちろん、使うものの素材や色、共に過ごす人、そんな”周囲”や”環境”が人の行動や思考を作る要因になっているのです。
リトリートの意味にもなっている『日常と距離を置く』というのも、それが人の意識や行動を変えることに意味があると感じているからです。

新しいという定義は不要論に裏付けられる

2つめはインタビューの最後に部分で語られていた「新しいものを作る際には勇気と楽観主義が必要だ」ということです。

“新しいという定義の裏には「そんなもの必要ない」という何百もの理由がありますからね。”とアイブ氏が語っています。

現代では生活に必要なものは全て揃っています。そこに新しい物やサービスを生み出そうとしても「そんなもの必要ない」「今あるもので十分」となります。
GEN-TENを始めた時もそうでしたし、今ゴルフリトリートを始めてもそうですが、多くの人に「そんなもの行く人のいるの?」「失敗するんじゃない?」と言われます(笑)

デザイナーも、起業家も、クリエーターっていう人たちは、そんな何百もの不要論の中に自分の確固たる価値観に基づいた信念を見出し、楽観的に新しいものを作り出すという使命を楽しんでいるのかもしれません。

とりとめのない文章になりましたが、これは自分の備忘録として残しておきたいと思いました。
とてもいい記事だったので、ぜひ皆さんも読んでみてください。

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