ゴルフの上達をサポートする「ゴルフコンディショニングプログラム」とは

ゴルフコンディショニングプログラムとは

「飛ばしたい」「エイジシュートを達成したい」「ライバルに勝ちたい」「スコアやハンディキャップを減らしたい」、これはゴルファーであれば、プロアマ問わず目標とすることです。
その目標のために新たな技術を獲得する。その技術を獲得するための練習をする。こうした取り組みをしていくことでゴルファーは成長していきます。

しかし、取り組んでいるスイングに対して自分の筋力や柔軟性が不足していたり、その状態で無理な動作を繰り返すことで怪我や障害によってパフォーマンスの低下に繋がるケースもあります。

ゴルフの上達はもちろん、スイング技術の習得に不可欠な身体の状態を作り、生涯にわたってゴルフを楽しみ続けることを可能にするのが「ゴルフコンディショニングプログラム」なのです。

ゴルフコンディショニングの概念


「コンディショニング」と聞くと”体を整える”という意味を連想します。
一般的にコンディショニングとは『ピークパフォーマンスを発揮するたに必要な全ての要因を望ましい状態に整える』ことを意味します。
ですから身体だけではなく、心理的な要因や、食事や用具などの環境的要因など全てを含めてピークパフォーマンスを発揮するための準備を総称して「コンディショニング」と言います。

ゴルフコンディショニングは主に身体的要因に特化したプログラムです。
身体の中には筋力・柔軟性・安定性・アライメント・神経系・身体組織・エネルギー代謝系・技術などが含まれていて、それらの総合的なコンディショニング(パフォーマンスを発揮するための準備)を指します。
TGRが推奨するゴルフコンディショニングプログラムは個人の目標や特性に合わせて作られますが、以下のような概念モデルを使って考えます。

パフォーマンスの概念モデル

パフォーマンスを発揮するために必要なことは、心(メンタル)・技(スキル)・体(フィジカル)という3つの要素に分解できますが、ここで大切なことはその相関を理解することです。

例えば、どんなに優れた技術も、身体的な基礎という土台がなければそのパフォーマンスを発揮することが出来ません。怪我や痛みなどを抱えた状態でピークパフォーマンスを発揮することは困難ですし、可動域や筋力の低下はそのままパフォーマンスの低下に繋がります。
技(スキル)の土台となるのが体(フィジカル)という考え方は近年では浸透してきていて、プロゴルファーなどのトップアスリートがトレーニングに多くの時間を割くようになりました。

そしてスキルは体という土台の上に積み上げられます。
広く大きな土台を作れば、それだけ大きなスキルも積み上げることが可能です。
練習量を増やすこともできますし、可動域や筋力が上がればさらに高度なスイング技術に挑戦することもできます。

メンタルは技術の上に積まれます。どんなに「自信を持って」「リラックスして」と言われても、技術的な裏付けがなければ不安を取り除くことはできません。
また後述しますが、メンタルは呼吸と密接な関係がありますから、やはり身体やスキルとの繋がりも無視できません。
どんな能力や技術にしろ、メンタルのコンディショニングだけでパフォーマンスが上がることはなく、あくまでも身体と技術の上に積み上がるものだということを理解しておかなければいけません。

身体的土台(身体操作能力・外部情報処理能力・心臓血管能力)

それでは、一番下の土台となる身体的土台の要素をさらに分解したいと思います。
身体的土台は主に3つの要素から構成されています。
①身体操作能力②外部情報処理能力③心臓血管能力の3つです。

①身体操作能力(ファンクショナル)

ゴルフ上達ファンクショナル
身体操作能力はシンプルに表現すれば「身体を思いとおりに動かす能力」です。
例えば体が硬いとイメージした位置に身体を動かすことできませんし、筋力が弱いとイメージしたスピードで動くことができません。バランスが悪いとフラフラしてしまって思ったように動けないという具合に私たちの身体の「柔軟性」や「筋力」や「バランス」は身体操作能力に大きな影響を与えています。

例えばゴルフでよく挙げられるエラーの一つに「スイング中に前傾を維持できない」というのがあります。
これをスイングを繰り返しイメージしながら練習することで修正しようと試みる方が多いですが、実際には前傾を維持できない原因の9割以上は身体的要因に起因していて、スイングの方法に問題があるのではなく、体が硬くて前傾を維持できる状態ではないということです。
実際にかつて名選手と呼ばれたシニアのトッププレイヤーのスイングを見ると彼らでさえも前傾を維持できていない事がわかります。
「前傾を保ってスイングして」とアドバイスを受けて意識するだけでできるのはおそらく20代半ばくらいまでで、多くのゴルファーはいくら意識しても変わらないというケースがほとんどです。

身体操作能力はそんな身体的な土台を整えるために、3つの項目に分けて改善を図っていきます。
Ⅰ コレクティブ(Corrective)=バランス、アライメント
Ⅱ ムーブメント(Movement)=正しい身体の使い方
Ⅲ パワー(Power)=パワー
です。

詳しくはまた別途記述したいと思いますが、これらの中にはストレッチ、コアトレニーング、バランストレーニング、連動性トレーニング、筋力トレーニングなどが含まれます。

②外部情報処理能力(コーディネーション)

ゴルフコンディショニングプログラム(コーディネーション)
外部情報処理能力は「情報を処理して動きを調節・操作する能力」です。

ゴルフでは耳慣れないかもしれませんが、例えばアプローチやパッティングの距離感が代表的で、目で見た情報をを処理して、その情報をもとにスイングの動きの大きさやスピードを調整しています。
よくアスリートが「衰えは目からくる」という表現をする事がありますが、目が悪くなるというのも情報を正しく処理できない原因になります。

コーディネーションは成長過程の早い時期(幼少期)に完成されると言われていますが、高齢になってからでも学習によって上達が可能と言われています。
これもアプローチやパッティングの技術を身に着けることも大切ですが、身体を使った情報処理能力を高めることも技術をパフォーマンスに結びつける土台としてより大切です。

これらの中では片足でのスイングや、閉眼でのスイング、軽いスティックを振る、などのドリルを用いる場合もあります。

③心臓血管系能力(カーディオバスキュラー)


心臓血管系能力は心臓や血管の収縮によって、細胞に酸素や栄養を運ぶ「エネルギー供給能力」です。

こちらも少し専門的な話になるのでまた別の記事で書きたいと思いますが、筋肉を動かすためにはエネルギーが必要です。
ゴルフもスイングをすることはもちろん、歩行は1ラウンドすると距離にして7000メートルほどを歩きます。
この時に使われる筋力へのエネルギーの供給や、老廃物の代謝などは心臓と血管の動きによって行われます。

さらにプロなどのアスリートになると、これが3日4日あるいは練習日などを入れると5日以上も続くことになりますから、疲労物質を効果的に代謝して、エネルギーを供給するかというのがパフォーマンスの安定に影響します。

これらのトレーニングの中には、30分程度のジョギングや歩行、心拍数を高めた状態でのスイングなどが含まれます。

ゴルフコンディショニングプログラムをオススメする人


ゴルフコンディショニングプログラムとは、このように身体的なアプローチによってピークパフォーマンスを発揮する準備を行うエクササイズを意味します。

特に、身体的な衰えや技術の低下を実感しているシニアゴルファーや、パフォーマンスをさらに向上させたいアスリート、怪我や障害が心配なゴルファーにはぜひ早めに興味を持って取り組んでもらいたいプログラムです。

逆に身体の土台が比較的安定しているジュニアや、20代のゴルファーは、スキルの獲得に時間を割いた方が効率よく上達できると思うので、参考にしてみてください。

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