前回の記事ではウェルネスツーリズムの可能性について書きましたが、今回は国内のスポーツの産業について調べてみました。
スポーツ産業は大きく3つに分類されています。
1つ目がスポーツ用品産業、2つ目はスポーツ施設産業、3つ目にスポーツサービス、情報産業です。
1つ目のスポーツ用品産業はナイキやアディダスに代表されるようなハードグッズ(耐久消費財)やソフトグッズ(アパレル)の製造販売分野です。
日本国内の市場だけでも1兆5000億円程度の規模があり、中でもゴルフは約2700億円程度で、アウトドアの2200億円、アスレチックウェアの1900億円と比べても大きな産業分野です。(出典:矢野経済研究所によるメーカー出荷金額ベースの2018年国内予測値)
2つ目のスポーツ施設産業は、ゴルフではゴルフ場になります。他にもフィットネスクラブ、野球場の運営、ボーリング場などもこれにあたります。
日本国内のゴルフ場は8000億円程度の市場と言われています。国内には約2230コースがあると言われていますから、1コースあたりの平均売上高は3.5億円程度です。余談ですが、プロ野球が開催される野球場の売上高は読売巨人軍の本拠地である東京ドームで推定200-250億円程度、人気上昇中の広島カープの広島市民球場で190億円程度と言われていますから、ゴルフ場はその広さや、維持管理にかかる手間を考えても決して収益性が高い施設ではないことがわかります。
3つめのスポーツサービス産業は、新聞、雑誌、テレビ、インターネットなどの情報媒体です。
私たちがやっているゴルフレッスンもこうしたサービスに分類されますが、ゴルフレッスン市場だと100億から120億円の市場と言われています。
ゴルフ雑誌などの情報産業はその売上の大半は広告収入によるものですが、情報についてはインターネットで配信されるデジタルコンテンツへの移行が進んでいて、Youtuberに代表されるような分野の特定がしにくいメディアも成長していることから市場規模が測りにくいですが、純粋にコンテンツを販売する情報産業分野では縮小傾向にあるのではないかと予想されます。
さて、前置きが長くなりましたが、小高齢化による競技人口の減少を原則として、スポーツ産業では戦略の模索が続いています。
例えばスポーツウェアはライフスタイルでも着られるファッションウェア市場への参入、スポーツ施設はスポーツ競技だけではなくイベントなどの別用途での活用、サービス情報産業はインターネットへの移行やその流動性を活かした海外への展開という具合です。
スポーツは「見る」「する」「支える」に分けらると言われていますが、「スポーツをする」という目的でいうと、
健康や美容のため、体力や筋力の維持増進、友人仲間家族とのふれあい、というのが上位3つの理由になるそうです。
(平成28年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」について スポーツ庁)
そしてスポーツの目的でもっとも多い健康や美容に関する分野は、ヘルスケア産業という軸で見ると日本国内では2016年16兆円→2020年26兆円。海外でも2016年163兆円→311兆円市場になると言われている成長分野です(出典:日本再興戦略)。実際に国内でもフィットネス事業は伸びており、健康志向の高さが伺えます。
そして健康の定義は広がり、先日紹介した体力や気力の回復を目的としたウェルネスツーリズムに代表されるような新たな産業も生まれてきました。
こうして見ていくと、スポーツの機会を提供するビジネスでは「顧客の心身の健康維持へどうやって貢献していくのか?」というのが大きな事業課題となっていくのではないでしょうか。
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